リフォームとは、
自分の「生き方」を
見つめ直すことだと思う。
N様
- number:
- 446
- structure:
- マンション
- type:
- 3LDK→2LDK
- area:
- 85.5㎡
- construction:
- 全面改装
- place:
- 京都市中京区
- price:
- 約2,500万円
リフォームのきっかけ
結婚してしばらくは、山科区の一戸建てに住んでいました。贅沢なことに広い土地もあったのですが、でも広いということはいいことばかりではなくて、草むしりなど庭の手入れが結構たいへんだったんですよね。最近「終活」という言葉をよく耳にします。我々夫婦もこれからの人生をどんなふうに過ごしていくのか考える時期になってきました。90歳の母親との同居を前提に今後の暮らし方をイメージしたとき、利便性の高い街中のマンションでアクティブに年齢を重ねていきたい、と私は思ったのです。そこで早速物件探しをはじめ、気になるマンションがあれば労を惜しまず見に行きました。2,000〜3,000万円ほどの部屋から億ションと呼ばれる高級物件まで、内覧数は50を下らないと思います。そこで気づいたのは、「値段の割に中身はそれほど変わらないな」ということです。ほぼ立地条件で金額は決まっていて、高額だから室内の設備や仕様が優れているというわけではないんですよね。であれば、新築物件を買うよりも中古物件をリフォームして自分好みの空間に変えるほうが賢いのではないか。そんな思いが強まってきたんです。
遊との出会い
いろいろ物件は見てまわったのですが、立地環境やマンションの雰囲気、階数(私は上階が好きなもので)などの条件を整理していくと、結局もともと母親が住んでいたこのマンションがベストなのではないか、となりました。広さは85㎡ほどで大人3人が住むには少々手狭ではあるものの、それはリフォームのプラン次第でなんとかなるのかなと。リフォーム会社選定にあたり5社くらいに声をかけプランも出してもらっていたのですが、母親が朝日新聞で「リフォーム相談会」の広告を偶然見つけてきて、そこに掲載されているプランを見て私は衝撃を受けたのです。
「デザイナーご夫婦の住まいは、小宇宙的エッグトイレがシンボル」(作品No.906)というキャッチコピーが添えられたそのプランは、部屋の真ん中に卵形のトイレを配置するという斬新なものでした。こんな空間のつくり方があるのか!と興奮しました。
また、リフォームをするならキッチンはトーヨーキッチンにしようと当初から決めていたのですが、その相談会の会場がトーヨーキッチンのショールームだったこともあって、どこか運命的なものを感じましたね。
セミナーの内容やスライドショーに私はどんどん引き込まれていきました。住まいに対する考え方に共鳴したというか、これこそまさに私が求めていたものだと思えたのです。
相談会終了後、講演者の方とお話させていただき、その思いは確信に変わりました。興奮しすぎて、その日はどうやって帰ったか覚えていないほどです。いただいた本も帰宅後すぐに読破しました。掲載されている文章や事例写真、すべてにシンパシーを感じる。そのときには、他の会社はすべて断って、遊さん一本で行こうと決めていました。
チーフプランナー 殿村眞里子
担当していただくことになったのは、チーフプランナーの殿村さんでした。リフォームといってもいろいろあって、壊れた箇所を修理したりキッチンを取り替えるのもリフォームです。でも住まい全体をどんな空間にするかというのは、自分の「生き方」に深く関わってくる。その観点が殿村さんと非常にマッチしました。
結局設計の打ち合わせには10ヶ月を要したのですが、彼女は神戸から京都まで何度も足を運んでくれて、それだけではなく毎日のように電話やメールでやり取りしてくれました。
私もこだわり出すとタイルの目地の色まで意見を言うタイプなので、すごくたいへんだったと思うのですが、それを一つも漏らすことなく全部を受け止めてくれて、とても感謝しています。
また、受け止めてもらっただけではなく、素人の私に欠けているところをプロの目からアドバイスしてくれ、新たな発見や驚きが度々もたらされました。
細部まで計算されたダウンライトの照明計画や、もともとあった梁をアールのデザインでおさめるアイデアなど、殿村さんをはじめ遊さんは神戸エリアの邸宅リフォームを数多く手掛けてこられた実績をお持ちなので、そのノウハウや引き出しの多さには随分と感服させられました。
生き方に対する考え方
人生の第3ステージを目前にして私は、今後の人生をどう生きるのかということをずっと考えていました。20代や30代の頃はアウトドアに傾注し、家なんて雨露をしのげたらいいや、くらいに思っていました。でも年齢を重ねるごとにインテリアも素敵なものにしたいとかいろいろ考えるようになって、今となっては自分の好きな空間で一日中過ごしていたいとすら思っています。あと何十年生きていけるかわかりませんけど、その期間は自分の好みのど真ん中に身を置くことで、人生の質はまったく変わってくると思っています。
これからも山登りやスキーなどアウトドアの活動は続けるつもりですが、家の中で“贅沢に”暮らしていきたいです。贅沢というのは単にお金をかけることではなく、じっくりと時間をかけて丁寧に料理をつくったり、家族との会話を楽しみながらゆったり食事をしたり、すみずみまで掃除が行き届くように心を配ったり、そういうことが今の忙しい時代にあっては贅沢だと思うんですよ。
それらをじっくり話し合える会社やプランナーと出会って、そして私の感性に合わせた素敵な空間をつくってもらって、本当によかったなと今幸せをかみしめています。
たとえば、遊さんとの出会いのきっかけになった卵形のトイレ。我が家は円柱型を採用しましたが、そこにトーヨーキッチンのモザイクタイルを張ってもらいました。見る角度によって虹色の輝きを放って、それを眺めているだけでも心が高鳴ってきます。
私は変わったことが大好きなんですよね。ファッションにしてもインテリアにしても「普通」という言葉は馴染まなくて、普通ほどおもしろくないものはないと思っているくらいです。
もちろんそれは人それぞれの感性で、普通が一番という人もいるはずだし、でも、そういった感性や生き方に対する考え方を住まいに反映させるのが大事なのではないでしょうか。
これからの人生計画
リフォームにしても新築にしても「もう少しここがこうだったらな」とか「これはちょっとイメージと違ったな」ということが必ずあるものですが、私の場合は本当にそれがゼロで、200%の満足度です。家具やアートなんかも、買いたいものはもうないです。置くべきところに置くべきものを置いているので、これ以上足すものがないし、引くものもない。この空間は、私の中では完成されたものなんです。
お世辞ではなく私が思い描いていたものは何一つあきらめることなく実現して、人生に一度くらいはこういう瞬間があるのだろうなと思えるくらい、すべてのピースが綺麗に当てはまりました。
これからリフォームをしようとされている方に僭越ながらアドバイスさせていただくとすれば、「自分がどんなふうに生きていきたいのか」ということを今一度見直してほしいですね。
そこをすっ飛ばして、どんなプランにしようかとか、どんな設備を入れようかと考えても、きっとどこかでほころびが出て後悔することになる。これからの人生計画について時間をかけて見直して、その上で住まい選びやリフォームと向き合っていけば、失敗することはまずないと思います。継ぎ足し継ぎ足しの場当たり的な決断は、継ぎ足し継ぎ足しの場当たり的なリフォームそのものだと言えるのではないでしょうか。
ここ数年、私は「どう生きたいのか」ということをずっと考えて過ごしていました。だからリフォームをすると決めたときには、空間の完成形が明確にイメージできていました。
住まいだけではなく、着るものや食べるものもそう。すべて生き方に関わってくる問題だと思うんです。やっぱりそこを切り離しては考えられないですよね。